現代的意義は現代においては

人類は個々の国家という政治的枠組みによって、大分割されているともいえる。

国民(ネイション nation)を、このような国家の成員と規定すれば、それはおのずから政治的ニュアンスの濃厚な社会範疇であるということになる。

しかし、独立国家の枠組みの下に国民形成が進行し、国語や国民文化あるいは国民意識とかいえるものが創出されるようになると、国民が民族の様相を帯びるようになり、実際、同義的に認識されるような例は少なくない。

もちろん、民族と国民とは、今日の世界の現実を把握するためには、原理上、峻別(しゅんべつ)しなければならない。

なぜなら、さまざまな歴史的状況や社会体制とも絡んで、民族の境界と近代国家の境界とは一致しないことが普通であり、また、単一国家のなかに多数の民族が共存する事例は非常に多いからである。