人間は他の哺乳類と違い

歩く際、前肢に相当する手を用いず、直立二足歩行をするが、それはたいへんな冒険を試みているわけで、歩行中の一瞬は片足立ちをしていることになり、まさに一輪車をこいでいるのに等しい。

それが可能になったのは、人間の神経、筋肉、感覚の機構が格段に発達するようになったからである。

手は本来、前進運動器官であったわけであるが、人間の手は前進運動の負担から抜け出て、人間の意志を周囲に対して果たす積極的な器官と化した。

歩くことは足に任せて、手はバランスをとるため前後に振られるが、それは次の仕事にとりかかる準備運動だともいえる。

現代的意義は現代においては

人類は個々の国家という政治的枠組みによって、大分割されているともいえる。

国民(ネイション nation)を、このような国家の成員と規定すれば、それはおのずから政治的ニュアンスの濃厚な社会範疇であるということになる。

しかし、独立国家の枠組みの下に国民形成が進行し、国語や国民文化あるいは国民意識とかいえるものが創出されるようになると、国民が民族の様相を帯びるようになり、実際、同義的に認識されるような例は少なくない。

もちろん、民族と国民とは、今日の世界の現実を把握するためには、原理上、峻別(しゅんべつ)しなければならない。

なぜなら、さまざまな歴史的状況や社会体制とも絡んで、民族の境界と近代国家の境界とは一致しないことが普通であり、また、単一国家のなかに多数の民族が共存する事例は非常に多いからである。